電柱に佇む時の鴇
この歳になると今年も時の流れを早く感じる、あと2ヶ月で辰年が終わる、年末12月14日前後に赤穂浪士、赤穂四十七士などの忠臣蔵がどこかのTV局で放送されるので時代劇ファンとして年の瀬の楽しみのひとつである。
討ち入りの発端となった有名なセリフ「殿中でござる」は赤穂藩主・浅野内匠頭が、江戸城・松の廊下で吉良上野介に斬りかかった刃傷事件の科白、浅野内匠頭はそばにいた、武士の情け知らずの大奥留守居役・梶川与惣兵衛に「殿中でござる!」と必死に抱き止められ、上野介は背中と眉間の傷だけで生き延びた。殿中(江戸城内)で抜刀するというのは即切腹であり、討ち果たせなかった浅野内匠頭の想いを大石内蔵助ほか四十七士が浪人となって主君の仇討ちをした美談である。
今年は放鳥トキのヒナが自然界で36年ぶりに誕生したニュースに感動したものであったが、自分が初めてトキを見た場所が「電柱でござる」。トキを探して魚港の近くを午後二時半頃に偶々通りかかり、トキの写真を撮っていた地元のお二人に尋ねると午前10時ごろからこの電柱に佇んでいたそうである。6時間も電柱の上に佇んでいたことになる。午後3時28分まで約1時間の大半は頸を背羽に乗せて寝ていたがトキドキ起きて「電柱でござる」の演技に激しいトキメキを覚えた。
いろいろな場面が見られるようになった。アーァと鳴いたのかアクビなのかトキに変化があった、時に2時50分。
片足立ちでチョットだけ羽内側のトキ色を見せる時がある。
背中のGPSのアンテナも肩ごしに見えるが04の足環がハッキリ読める、現在本州にいる2005年生まれ唯一のトキ、第一回目に放鳥された雌のトキである。
飛ぶ前のストレッチなのか派手な動きと魅せるようなトキ色を見せる。
その後に羽繕いを始める、繁殖期には頭頸部から分泌される色素を嘴で体に塗りつける。今は墨色が落ちたのか白く見えるが後頭・頸・肩羽などに少し墨色が残る。
また飛込みの姿勢のストレッチ、頸の後ろや喉の下は塗りつけた色素の墨色の形跡が見える。
全体は白色に見えるが分泌物を塗った部分は微かに墨色に見える、飛び出し前のサインなのか片足立ち、初めてのトキは人工物は一向に気にならない。
待ちに待った電柱でござるからの飛び出し、翼下面のトキ色が青空に美しく映える。三脚の位置を白雲を避けて青空に移動していて良かった。
飛び出し直後の赤色の足を下げたそのまんまも撮れた。
トキ色に透けた翼、首をのばす、脚が尾羽よりも飛び出さない、GPS発信機が見える、これがこの時のトキの特徴である。
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