巣立ちの運命
6月は旧暦と同じ水無月(みなづき)と呼ばれるがその由来は諸説あるようだが、雨降り続きの梅雨で天の雨の在庫が無くなり、水無月になったとの説もある。天の神様も水の在庫が無くなるとは天で話しにならない!
お百姓さんと6月に結婚式を挙げた花嫁「ジューン· ブライド」(June bride)以外は梅雨の水無月はみなすき(皆好き)ではないようだ。そんな訳で関東の梅雨を逃れて6月1日から北海道に漂流中であるが前半は好天に恵まれたがこの3、4日の知床峠は荒天の日が多くなった。
死を予知すると群れを離れて姿を消す狼や猿などの動物の話は本で見たり聞いたりしたことがあるが音更のアカゲラの幼鳥には「まさか」の日となった6月23日の話である。
このアカゲラは天から授けられた運命の巣立ちの日に土に還ってしまい、死への旅立ちとなった。哀れなアカゲラ幼鳥であった。前日まで巣穴の中で兄弟と共に親からの餌を強請って騒がしく鳴いていたアカゲラの巣立ち前の幼鳥、翌朝の営巣木は静かになっていたので夜中か早朝に兄弟揃って無事に巣立ちしたと思われたが7時半頃にCMの一人が枝に引っ掛かるようにして元気のない巣立ち雛を見つけた三番子らしい、営巣木の真下で地上約1mの枝である。見つけた時はまだ弱弱しく羽ばたいていたが目には生気がなかった。
この日の音更(おとふけ)の抱卵中と言われるカワアイサも何事もなく夜が更けていった。
音更で10日間聞いたY氏の言葉。始めは「2,3日で孵る」、三日後には「4,5日で出る」、その後は「今年は寒いので遅れている」、10日目の最後のセリフは「無精卵かも知れない!」この言葉を聴いて音更のカワアイサを諦めた、なんとも諦めの悪いことをしてしまった。この間に「音更町内で追突された」「鶴居村で鶴の撮影後に三脚を忘れた」「エゾフクロウの交通事故死を見た」「最後にアカゲラ幼鳥の悲劇」悪い事ばかりが記憶に残った10日間であった。
三日間も道の駅「うとろ・シリエトク」のウトロでウロウロ、知床峠に何回も登ったり、降りたりの知床峠の晴れ間待ち、霧が晴れない、心も晴れない日のブログである。
巣穴の真下、朝7時半頃に見つかった薄暗い中で巣立ちの三番子、お兄ちゃん達につられて巣立ちしてしまったのか?それとも落ちたのか?かなり前からここでよわっていたようだ。
二時間後の9時半地上に落下していた、まだ息があるが目が落ち目で駄目(ダメ)である。これもアカゲラ幼鳥にとっては運命のいたずら、鳥は落ちても落鳥、死んでも落鳥と言われる。6月23日の朝の出来事である。
翻って自分の運命は・・・16日に置き忘れた三脚が戻ったのは幸運であった。27日雨の日に滑って転倒、右眉を5針縫う・右手首の骨折(完治1・5ヶ月)の怪我を負う不幸に出合う。
禍福は糾(あざな)える縄の如し。三脚が戻ったのは幸いであり、転倒して怪我をしたのは禍であった。幸福と不幸は隣り合わせにある。これも運命のいたずらか、怪我してからはなんとなく気を引き締めて、天運の流れなのか、見えない警告の言葉に耳を澄ませているが、この緊張感は凡人にはいつまで続くのか自信がない。
もし仰向けに転んで頭を打っていたらこの程度では済まなかったと身が震える思いが今になって知る。
アカゲラ巣立ち雛の落鳥から我が身の運命まで話が飛んでしまったが余計な頁は落丁にしたい思いである。
« サロベツのツメナガセキレイ | トップページ | 木道のシマアオジ »
「野鳥」カテゴリの記事
- シマエナガの寒中見舞い(2024.01.07)
- ブログの目標・野鳥400種撮影の回顧(2023.11.16)
- 江の島のハヤブサ巣立ち回顧録(2023.09.18)
- 利用可能ディスク容量は残り僅か (2023.09.03)
- 野鳥撮影の最初は公園のカワセミ(2023.08.11)
コメント