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2014年8月29日 (金)

蝦夷雷鳥親子の採餌訓練

 時間の限られた人生をしなやかに生き抜くには人は「努力と忍耐と創意工夫と希望と愛と善意をもって人生にたちむかう」。生と死をみつづけてきた作家の五木寛之の新版「生きるヒント2 今日を生きるための12のレッスン」の中にあった文章である。同じような視点から残り少ない趣味の野鳥人生、悔いを残さず撮影するには情報と知恵と忍耐と根気と努力と希望と愛と夢を持って野鳥撮影にたちむかう。時には冒険と少々の危険を冒し、時季を失せず、尽きない探究心と熊のいるような山中でも孤独と恐怖心に耐え、時には空振りも辞さず、挑戦する心を限りなく持ち続けることが大切である。時には運にも支配される覚悟が必要である。
 蝦夷雷鳥親子の撮影には場所と時季が限定される、8年前の6月に大雪山系の麓、21世紀の森で初めてエゾライチョウの親子を見た、枝にとまった可愛いコッコを初めて写真に収めてブログに貼った時はヤッタ!という達成感は時空を越えた旅人の遠い想い出となっている。
蝦夷雷鳥親子の撮影はかなり難しいと考えている、この2,3年の撮影は「温泉民宿北の大地」の主(あるじ)にお世話になっている。鍵の掛かった林道に入るには営林署から入林承認証とゲートの鍵が必要である、これも北の大地から教わったノウハウである。どこの林道に蝦夷雷鳥の親子が出現するかは営林署でも教えてくれない、これも北の大地からの情報に頼る他はない。北海道滞在の貴重な一日である、役所の始まるまでの早朝は野付半島で時間を費やし、その後に営林署に出向き「入林承認申請書」に入林目的(営林署事務担当者から目的は森林レクリエーションと指示された)入林箇所(撮影を希望する林道)入林期間(今回は6月30日7月1日の二日間)入林人数(1名)入林車両(車種・車両番号)来署予定(鍵の返却日)などを記入し暫くして営林署長承認印のある「入林承認書」とゲートの鍵を受け取る。入林承認証を車外から見える位置に置いて、イザ出陣!

冒頭の「時には冒険と少々の危険を冒し、時季を失せず、尽きない探究心と熊のいる山中でも孤独と恐怖心に耐え・・・」の理由を写真で示すと熊が出そうな笹藪と車幅よりも狭い林道を枝葉と笹藪で車体にスリ疵を付けながら進む、人も車も迫り来る危険を承知で挑む冒険心が必要である。

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目的の林道ゲートに鍵を開けて入ると内側から鍵を〆る。林道を進むとエゾライチョウの親子が採餌の訓練に歩きそうな車の轍がある

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車の前方に垂れ下がる枝葉、これら掻き分けて車を進める。普段使われていない待避場所は熊笹が生い茂る、このような場所が方向転換の場所、ここでUターンするには車で熊笹をなぎ倒し、5,6回ハンドルを切らないとUターン出来ない。

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パトロール車も滅多に入らない、車の轍もなくなり見えない上り坂、この先は道幅の2/3も土砂崩れがあり通行不能の危険地帯、林道の危険個所に要注意(ここは木々がないので明るく撮れる)

開放されている虹別林道などよりもはるかに危険が多いがその分エゾライチョウにあえる確立も高くなる。このエゾライチョウも北海道では10月1日から1月31日の4ヶ月間は狩猟期間となると銃器などで獲られる可哀想な鳥である。6月の子育ての時季はカメラで撮ります。

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熊笹の繁る林道をどんなに車をゆっくり進めても採餌訓練中のエゾライチョウ♀親に気付かれる

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林道の轍で雛の採餌訓練を見守る♀親

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開けた轍の跡で餌を探す雛、草木の葉・種子・果実・昆虫類などを採食

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雨上がりの草地で親から離れて採餌中のこっこ

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轍にいた親が車が近づくと林道脇の木の枝に載って警戒する

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下の雛に隠れろ!と指示を出しているようです

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車を停めて運転席からカメラを出すとカメラ目線の♀、雛がいるので逃げない、♂の場合は警戒心が強く単独行動でこんなに近くからは撮影出来ない、あまり遠くには飛ばないが直ぐ飛んで逃げるのは♂

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餌を探す5,6羽のヒナの群れが轍の前方に逃げていく

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枝から降りて轍からヒナを見守る♀親

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逃げる時に親の上を飛ぶヒナを初めて観察

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近づき過ぎて枠からはみ出す

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これがオリジナルの大きさ、車が近づき驚いて枝に飛び乗って避難したヒナ、8年前にこのような雛を初めてカメラに収めたことがあるがそれ以来の写真である。

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避難した雛が笹藪の中の梢に(トリム)

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更に別の写真を大きくトリムした可愛い仔っ子、朝露なのか雨の滴が分る

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カメラ目線の雛、運転席からパチリ、この後に親の方向に飛ぶ

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親と逃げる雛6羽、林道の熊笹の蔭に親、運転席からは常に後方からの写真

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また木の枝に逃げる♀親、♂と違い単独では逃げないで雛を見守る

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車幅よりも狭い林道、親の後を見え隠れしながら追う雛

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反対側左の轍にいる雛を見張る♀親

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左の轍に移動する♀親、ヒナは草の中で見えない

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左の轍に移動した親と雛、雑草と笹藪の中に消える。   

林道の草地の少ない車の轍の上でこっこの餌探し、危険がせまると雌親の鳴き声を合図に轍(わだち)の左右の雑草の中に雛006 が避難する。翌日の7月1日にも訪れたが林道に出現した昨日の場所を何度も往復したが昨日が訓練の最終日なのか二度と轍には現れなかった、時季を逸するとはこのことか、6月の最終日に間に合っただけでも運があったと思う。写真は7月1日に撮影した単独行動で轍を歩く♂、蕗の葉でよく見えなかったが林の中に直ぐ飛ばれて見失う。7月に入ると♀親と雛の採餌訓練は見られないようだ。森林レクリエーションの半日が終わる、返却予定を早めて午前中に鍵の返却で営林署に向かう。

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